行動開始 -startup-

長い長い銀の髪を梳かれながら彼は問われた。 「アロは誰のお嫁さんになるのかしらね」 「およめしゃんって、なーに?」 「大好きな人とずっと一緒にいれる人の事よ」 まず第一に男は嫁にはなれないから、その質問自体間違っている。 しかしアロはルッスーリアの答えに目をキラキラと輝かせた。 「アロ、およめしゃんなる!ヴァリアーのみんなとずっといっしょにいゆの!」 「それは嬉しいけど…お嫁さんになるには結婚式をしなきゃいけないし、 結婚するのは一人とじゃなきゃダメなのよ」 「けっこんって、なーに?」 「大好きな人とずっと一緒にいるって約束すること」 「ルッスーはけっこんしてゆの?」 幼子の素朴な疑問に、悪いと思いながらもルッスーリアは笑ってしまった。 何故笑うのかわからないアロは不思議そうに首を傾げている。 「ルッスー?」 「クスクス…ごめんなさいね。アタシは結婚してないわよ」 「じゃあぼしゅとママンは?」 「ボスとスクアーロ?してないわねぇ」 第一男同士だし。できないし。 その呟きはルッスーリアの心中にしまわれたが、わからないアロにとっては一大事だ。 大好きな父と母が結婚をしていないということは、ずっと一緒にいると約束していないということ。 そうなればいつか見た喧嘩の時に母が言った 「二度と戻って来るか!」 が本当になってしまうかもしれない。 それはダメだ。それだけは何としても止めさせなければ。 そうする為には二人を結婚させるしかない。 小さな頭で一生懸命考えて納得すると、髪を結んで貰った礼もそこそこに、 アロはサロンから駆け出した。 ***** 「ザンーザンー!!」 書庫に備え付けてある窓際のソファで読書に耽っていたザンは兄の声に視線をあげる。 が、暫くたってもザンは返事を返さない。 「ザンどーしたのぉ?」 「…凄い服だと思って」 ザンが呟いた言葉にアロは納得をする。 自分が今身に着けているワンピースは普段の二倍くらいレースやフリルがついているのだ。 綺麗でしょうとっておきなのよと服を出してくれたルッスーリアの笑顔を思い出し、 アロは自然と顔が弛んでしまう。 「ルッスがとくべつよ、って着せてくれたのー」 「ふぅん…」 「おひめさまみたいー」 アロがその場でクルクル回ると、それに合わせてスカートが広がる。 薄いピンクの生地に小花を散らした柄のワンピースはアロに良く似合っていた。 「きれいだ」 「ありがとー」 「お嫁さんみたいだな」 弟のその言葉でアロは何故自分がここに来たのかを思い出す。 先程のルッスーリアの話と自分の話をザンにすれば、弟の顔が青ざめていく。 「だからね、けっこんしないとぼしゅとママンはいっしょにいれないの!」 「ほんとうか!?たいへんだ!」 いつの間にかアロの頭の中で、結婚をしないと一緒にいれなくなるという方程式ができあがっている。 それをザンも疑う事なく信じてしまったからさあ大変。 「アロ、パパンとママンをけっこんさせるぞ!」 「うんっ!」 「でもけっこんってどうするんだ?」 「うーん…」 困った時は大人に聞こう! それを実践する為に二人は書庫から駆け出したのだった。

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