情報収集-Intelligenza-
重厚な造りの机がある執務室。
書類が山積みになっているここはどこか父の部屋と同じような雰囲気がある。
そんなことを思いながら、ザンは目の前にあるプリンにスプーンをさした。
器にはプリンと一緒に生クリームやフルーツも乗っており、
普段訪れない子供達の為にシェフが腕を振るったのだろうとわかる。
部屋の主人はそんな二人を見ながら自分のカップに口をつけた。
「それで急にどうしたの?」
「あのねぇ、けっこんすゆの」
「ツナさん、けっこんってどうすればいいんだ?」
「は?結婚?ザンとアロが!?」
「ちがうよぉ」
生クリームを頬につけたまま、アロは事の経緯を喋り出す。
話の途中で二人が結婚について間違った認識があるとわかったが、
綱吉はそれを訂正しなかった。
そんなことをすれば一生懸命考えて頑張っている子供達が可哀相だし、
何よりあの二人が結婚してくれた方がこちらとしても助かる。
最近ザンザス宛の見合い話が多く、断るのに辟易しているのだ。
結婚したと噂が広まればその手の話も無くなるだろう。
「けっこんって、どうするの?」
「えーと確か…神様の前で愛を誓うんだよ。結婚するなら結婚式もしなきゃ」
「けっこんしきってなんだ?」
「えーと…」
「面白そうな話してるわね」
突然聞こえた第三者の声にドアを見れば、そこにはビアンキとハルの姿がある。
ハルの手にはケーキ屋の箱があり、お茶をしに来たのだとわかった。
「誰か結婚するんですか?」
「うん。ザンザスとスクアーロがね」
「あらあの二人ようやく身を固める事にしたの」
「ナイショだよ。アロとザンが二人を結婚させたいって言い出したんだ」
「「だって、けっこんしたらずっといっしょだもん!」」
二人一緒に声を揃えてそう言い、顔を見合わせて、ねー、と笑い合う。
そんな二人をハルはきつく抱き締めた。
「ハルは…ハルは感激しましたっ…!!何て良い子達なんですかぁ!!」
「むぎゅ」
「ハルさんくるし…」
「そうだ。二人共アロとザンに結婚式について教えてあげてよ。女の人の方が詳しいだろうし」
「いいわよ」
「お安いご用ですー」
綱吉の言葉に女性二人組は頷くと、にこやかに話を始めた。
*****
二人に話を聞き始めてから一時間後。
やっぱり女性は凄いと綱吉は思った。
ドレスの話や式の形式。はてはケーキの形まで。
次々に変わる話題にアロとザンは目を丸くしている。
「ふ、二人共そのへんで。アロもザンも覚えきれないし」
「それもそうね」
「とりあえず、最低限必要なのはドレスとケーキとブーケですね」
「ドレスのいろはぁ?」
「やっぱり白よ」
白、という単語に二人は困った顔をする。
確か母親やルッスーリアのクローゼットには白いドレスはなかった筈だ。
「二人共。ドレスが無いなら俺が用意しようか?」
「んーん。だいじょぶ!」
「そう?なら招待状は俺が作るから」
「しょうたいじょう?」
「うん。二人のパパンとママンの結婚式にね、皆を招待して皆でお祝いするんだよ」
どうかな、と訪ねられた言葉に二人はキラキラと目を輝かせながら頷いた。
自分達の誕生日パーティの時のように、
皆にお祝いされたら両親も嬉しいだろうと思っての事である。
「じゃあ日付はいつがいいかな?」
「二週間後になさい」
「へ?ビアンキ何で?」
「考えがあるの」
そう言うとビアンキは二人にそっと耳打ちをする。
それにアロとザンはちょっと困った顔をした。
「だってむずかしいよぉ」
「私と隼人が教えるわ。それにきっとあの二人も喜ぶ筈よ」
「おれやる!」
「アロも!」
「がんばるぞ」
「うんっ!」
こうして二人の結婚式準備が始まった。
果たして上手くいくのだろうか…?
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