Happy End -Fine felice-
訳がわからぬままドレスを着せられ化粧をされて、
中庭へと続く廊下へとスクアーロは連れていかれる。
結婚だ結婚だとハルと京子が騒ぐので何の事だと不思議に思っていたのだが、
廊下にいた人達を見て、そこで初めて結婚するのが自分だと気が付いた。
そう気付けば恥ずかしさが込み上げてきて、思わず後退りをする。
だが腕はガッチリと養父に掴まれている為、スクアーロが逃げ出す事はできなかった。
*****
見慣れた庭が見事に飾り付けられている。
真直ぐに敷かれた赤い絨毯の上を養父と一緒にスクアーロが歩き出せば、
どこからともなくピアノの音が聞こえてくる。
たどたどしいそれはお馴染みの結婚行進曲。CDか何かかと思っていたスクアーロは、
その姿を見て思わず立ち止まってしまった。
「あれ?ママンこないよぉ?」
「ハヤトせんせーおわっちゃったぞ」
「じゃあまた最初からな」
キーボードの横に立っている獄寺が楽譜を指差す。
そうすればアロとザンは小さな手を一生懸命動かしだした。
再びたどたどしい結婚行進曲が響く中、やはりスクアーロは前に進む事ができなかった。
次々に溢れてくる涙で前が見えない。
せっかくハルや京子がしてくれたメイクもボロボロになるが、それでも止める事はできなかった。
「…スペルビ。歩かないと」
「ん…」
テュールに促され、涙を拭いながら歩きだす。
祭壇の前にたどり着いた途端、待っていたザンザスに抱き付いてしまった。
そのままボロボロ泣いていれば、背を擦られ息子達に礼を言わなければと告げられる。
それに頷き支えられながら息子達の前へ行けば、二人は困った顔をした。
「ごめんねママン。いっぱいれんしゅうしたけど、アロまちがっちゃうの…」
「おれもまちがえた…でもドレスはルッスが作ってくれたんだぞ!
おれとアロがつくったドレスよりずっときれいだ!」
「うん!ケーキもね、ルッスが作ってくれたの!ブーケはね、ノンノのおはなだよ」
「二人の結婚式をしたいってアロとザンが言い出して、俺たちはちょっと手伝っただけなんだ」
祭壇に立っている綱吉が経緯を説明すれば、スクアーロは強く二人を抱き締めた。
涙で声にならない分、感謝を伝えようときつく抱き締める。
だが二人は困った顔をしてスクアーロの頬に触れた。
「ママン何でないてるんだ?」
「なかないでママン」
「…笑ってやれ。スクアーロ」
ザンザスの言葉にスクアーロは涙を拭うと笑みを浮かべる。
そして愛しい息子達にキスをして、涙声で感謝を伝えた。
「ありがとなぁ、二人共。すげぇ嬉しいぜぇ」
「ホント?」
「ああ。ピアノも頑張ったんだなぁ」
「えへへ」
幸せそうな三人に微笑んで、綱吉は今から式をするからと告げた。
「色々あるみたいなんだけど人前婚にすることにしたから」
「なんだそれは」
「ここにいる人達全員に証人になってもらって、皆の前で愛を誓うんだ。
神様に誓うよりよっぽどいいだろ?」
「ハッ、違いねぇ」
元々神など信じていない。
それならば綱吉の提案に乗った方が良いと、
ザンザスはしゃがんでいたスクアーロの腕を掴んで立たせる。
そしてハッキリと誓いを告げた。
「生涯コイツだけを愛する」
「ぼ、ボス…」
「ほらスクアーロは?」
「…俺も生涯ザンザスだけを愛すぜぇ」
そのまま見つめあってキスを交わす。
真っ白な服は自分達には似合わないが、今日くらいはいいだろう。
拍手が沸き起こる中、子供達の無邪気な声が聞こえてきた。
「ハヤトせんせーみえないよぉ?」
「まっくらだ」
「もうちょっと待て。テメェらさっさと離れろ!」
「わ、悪い!」
獄寺の言葉に顔を真っ赤にして慌ててスクアーロは離れる。
ようやく目隠しを開放された二人は不思議そうに首をかしげた。
「ケッコンおわりー?」
「うん、終わったよ」
「じゃあママンとパパンずっといっしょか?」
「そうだよ」
「「やったぁ!!」」
嬉しさのあまりピョンピョンはねるアロとザン。
二人の内緒の結婚式は大成功だった。
- end -
これにて完結です。
お付き合いありがとうございました。
yayoi Jugo