オリオン
はぁ、と息を吐き出せば白い。
寒いはずだと納得をして、綱吉はマフラーに口元を埋める。
隣を歩く恋人を見れば彼も寒そうに頬を赤くしていた。色が白い分尚更それが目立つ。
少し猫背気味に歩く獄寺を見ていれば、視線に気づいて柔らかく微笑んだ。
「寒いですね」
「そうだね」
「あ、コンビニで中華まんでも買いますか?」
「駄目だよ。結構歩かなきゃいけないし」
綱吉の言葉に獄寺は目をパチクリさせる。
進行方向にあるコンビニはあと200メートル程先だ。結構という距離ではない。
一体どういうことだと首を傾げれば、綱吉はクスクスと笑い出した。
「隼人、あんまんはこし餡よりつぶ餡派でしょ?あそこのコンビニこし餡だから」
「なっ……ご存知でしたか…」
「中一の時山本と騒いでたよね」
「わ、忘れてください!」
耳まで真っ赤にして慌てる獄寺が可愛くて綱吉は笑いが止まらない。
こうなると笑い上戸の恋人には何を言っても無駄だ。仕方なく黙り込んで歩いていれば、不意に右手を握られた。
繋いだままのそれは綱吉の上着のポケットに入ってしまう。
流石に驚いて顔を見上げれば、主の頬は赤くなっていた。
「十代目…」
「寒いから、ね」
「で、でも、誰か来たら…」
「かまわないよ」
出会った頃より低くなった声ではっきりと告げられる。
自分の物より大きな手。緊張のし過ぎで汗をかかなければ良いと思いながら、獄寺は空いている左手で自分のポケットに入っているライターをいじる。
会話が続かないと頭の中が混乱していれば、ぎゅっと強く手を握られた。
「今年の冬休みはイタリアに行かないことにしたよ。少し立てこんでいるみたいで危ないからって言われたんだ」
「そうですか」
「隼人はどうする?」
「十代目が行かれないのでしたら、俺も行きません」
「じゃあ、たまには二人きりで過ごそうか」
クリスマスも大晦日もお正月も。
どうかな、と少し照れくさそうに告げられて、獄寺はコクコクと必死に頷く。
暗がりで良かったと思った。絶対に耳まで真っ赤だ。
ポケットの中の手は温かかったけれど、汗をかいているに違いない。
心臓の音が煩すぎて、二人は同時に手を強く握った。
((カッコ悪い、俺…))
- end -