emerald
サロンを通りかかったら面白いものを見た。
出張でこちらに来ていたボンゴレ晴れの守護者が、
唸りながら彼には似合わないファッション雑誌を見ていたからだ。
というか彼はイタリア語を読めたのだろうか。
気になってルッスーリアがそちらに近づけば、彼の隣にはベルがいた。
どうやら雑誌も彼のものらしい。
「何を見ているの?」
「おお、ルッスーリア」
「良かったじゃん。ルッス、了平が恋人に土産買って帰りたかったんだけど、
何が良いかわかんなかったんだって」
「まあ!」
了平に恋人がいたのかとルッスーリアは驚く。
それに加えプレゼントを贈りたいというのだから、
鈍感そうなこの男にもそれなりの感情があるのだろう。
元々そういう話が好きなルッスーリアは色々聞き出そうと隣に腰をおろした。
「ねえねえ了平ちゃん。どんな子なのよう」
「あー聞くだけ無駄だよルッス。ボンゴレの雲の守護者だってさ」
ベルの声に黒髪でトンファーを構えた小柄な少年を思い出す。
確かに肌は白いし顔は整っていたが、まさか彼の事だとは思わなかった。
それに彼の性格はわかっていたから、何かを贈って喜びはしないと思う。
どうしてそんな難しそうな人を選んだのだろうと隣を見れば、
何やら携帯をベルと見せ合っていた。
「ししし。ルッス見てよ。エースくんかっわい!」
「どれ?あらあら、まぁまぁ!」
了平の携帯画面には案の定雲雀が映っていた。
だがいつもの刺々しい雰囲気ではなく、柔らかくこちらを向いて少し困ったように微笑んでいる。
これはきっと了平だけがさせることのできる表情なのだろう。
ここまで間が進んでいるならば、プレゼントは思いきった物にしたらどうだろうか。
「了平ちゃん、お土産は指輪はどうかしら?どこかのブランド本店で選ぶと良いわよ」
「しかしヒバリは指に何かをつけるのを嫌がるのだ。俺もボクサーだからその気持ちは極限わかるしな」
「じゃあネックレスは?それなら邪魔にならないじゃん」
「おお、それは良いな!」
「じゃあ私車出してあげるわ。あちこち回ってみましょ」
「暇だし王子も付き合ってあげるよ。了平のセンスじゃ凄いの選んじゃいそうだし」
「助かるぞ二人とも。極限頼む!」
*****
一方その頃日本では…
「ふぁ・・・くしゅんっ!」
その音に思わず書類整理をしていた綱吉の手が止まる。
顔を上げれば、自分の前で報告をしていた先輩がもう一度くしゃみをした。
聞き間違いではなかった。
最近寒かったからそれで体調を崩したのではないだろうか。
「雲雀さん、大丈夫ですか?」
「何が」
「いや、くしゃみしてたので…」
「どっかの馬鹿が噂でもしたんでしょ。いいから続きするよ」
「は、はい…」
どっかの馬鹿が指輪代わりのネックレスを持って帰国するのは三日後のことである。
- end -