ラプンツェル

そろそろいい加減にこの髪をどうにかしようと思っている。 「っだぁー!クソっこのっ!!」 頭部に痛みが走り振り向けば、髪が木の枝に絡まっていた。 また髪を伸ばし始めてだいぶ経つが、最近どうにもこの髪が色々な物に引っ掛かって仕方がない。 義手というせいもあり、外すのは意外と至難の技だ。 「う゛ー…」 暫く粘るがどうにも外れない。 腹が立ち髪を思いっきり引っ張るが絡みは更に酷くなる。 イライラはもう限界で、ナイフで切ろうと思った瞬間、背中を思いきり蹴られた。 「い゛ぃってぇ!!」 「邪魔だ、カス」 背後から聞こえたのは耳に馴染んだボスの声。 声の主は俺の姿を見ると、眉間の皺を五割り増しにする。 「何しようとしてんだテメェは」 「あ?何ってバッサリ…」 「腕切り落とされたくなきゃナイフしまえ」 わけのわからない言葉にとりあえずナイフをしまえば、伸びて来るのは俺よりデカイ手。 武骨なその指が俺の髪の絡まりを丁寧にといていくのを唖然と眺めていた。 そんなもんだから、突然容赦なく叩き込まれた拳に、思わず体を曲げてしまう。 「って…」 「おい、カス」 「あ゛ぁ?」 「お前、いまだに誰の所有物かわかんねぇみてぇだな」 グイ、と頭を掴まれ上を向かせられる。 視線の先にあった赤い瞳は燃えているようだ。 「テメェは俺の所有物だ。人形が勝手な行動取るんじゃねぇよ」 「…ははっ」 子供じみた独占欲。 俺はボス気に入りの人形。 だけど子供は気紛れだから、いつ捨てられるかもわからない。 でも、それでも―― ――こんな関係が嬉しいなんて ――相当俺はヤバいのかもしれない 「……悪かったよ」 「ふん。…来い、仕事だ」 そのまま背を向けて歩き出したボスの背中を、俺は忠犬よろしく追いかけた。 今度からはもう少し髪の手入れに気をつけようと思いながら。

- end -

つまりボスはスクの髪がお気に入りなんだって話を書きたかっただけです。 争奪戦後にバッサリ切って、また伸ばしているという私的妄想。

Yayoi Jugo