小説用テンプレートについて ...01
「最近変な夢みるんだよなぁ」
白地にイルカが描かれたカップを持ちながら向かいの男が呟く。
それに視線で先を促せば、えーとなぁ、と呟いて視線を少し彷徨わせた後喋りだした。
「あのな、お前はマフィアの御曹司なんだ」
「ほう」
「で、俺はお前の右腕。俺らはデカいマフィアの暗殺部隊なんだ」
「人殺してんのか」
「ああ。でもホントの悪人ばっかり殺ってる。俺は剣士なんだぜぇ」
そう言ってソイツは得意気に笑う。それに何故か頭がチリッと痛んだ。
「…?」
「ん?どうしたぁ?」
「いや…何でも」
ない、と言おうとした途端にグラリと視界が歪む。
それに目の前の男は酷く悲しそうな顔をした。
「…やっぱり、そろそろかぁ」
「な、に…?」
「アンタは自分の事を思い出さなきゃいけない」
何を言っているんだコイツは。
俺が何を思い出すって?
何も忘れてなんかいない。
俺は小さなカフェのバリスタで、その店の二階に住んでる。
コイツはその店のパティシェで、俺の恋人。
コイツの、名前は…
ナマエ、ハ……
そこで初めて俺はコイツの名前を知らない事に気付いた。
柔らかい顔で微笑む顔。キラリと輝く銀髪に、名前がスルリと口から滑り落ちた。
「スク…アーロ…」
呟いた途端、俺の意識はブラックアウトする。
だから目の前にいたソイツが目から涙をこぼしたのがわからなかった。
「オレはアンタの記憶の一部。もっと一緒に居たかったけれど…おやすみ、ザンザス」
目覚めの時はもうすぐ。
せめてそれまでよい夢を…
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