aikoi
パーティなんて大嫌い。
上品な音楽に、上等な料理と酒。
華やかな色のドレスが視界の端を横切り、あちらこちらで談笑している男女。
はっきり言ってつまらない。
部屋の端に備え付けられているソファを占領して、そこから馬鹿騒ぎを冷めた目で見ていた。
カラン、と手にしたグラスの中で氷が溶ける。
ぼんやりとそれを眺めていたら、そつの無い動作でそれは新しく飲み物が入ったグラスと交換された。
交換した相手はというと、そしらぬ顔で僕の隣に腰を下ろす。
「相席を許可した覚えは無いよ」
「相変わらずつれねーな、バイパー」
隣の凄腕ヒットマンを睨みつけるが、相手は手にしたグラスを傾けている。
もうコイツには何を言っても無駄なので、僕は息を吐き出す事だけにとどめた。
カラン、とまたグラスの中の氷が溶ける音がする。
「飲まねーのか?」
「あまりそういう気分じゃない」
「お前酔うタイプじゃねぇだろ」
「酔う酔わないじゃなくて、アルコールを取りたくないだけ」
グラスをサイドテーブルに置いて、濡れた手をハンカチで拭く。
柔らかいソファの背に体重を預ければ、隣のヒットマンは小さく笑っていた。
「ガキだな、お前は」
「ガキだよ。っていうかさ、何で今更見合いなの。しかも承諾したのが僕のママンだよ?
いくら愛人の数がステータスだって言ってもさ、オカシイって絶対!」
誰にも言えなかった事を低い声でボソボソと吐き出す。
僕の視線の先にちらつく色は黒と銀。
黒の隣にはど派手なピンクやブルーが纏わりついていて、それに僕の機嫌は更に悪くなる。
それらがもしも本部にまで来たらどうしてくれよう。
能力でポルターガイストもどきでも起こして驚かせて追い出してやろうか。
それともベルと協力してあちこちに仕掛けを作ろうか。
そんな事を考えながら、カリ、と無意識に親指の爪を噛んでしまう。
イライラした時に出る僕の癖。ママンには止めろって注意されるけど、中々これが治らない。
隣にいたヒットマンはそんな僕を見て、腕を取るとそのままホールの中央に向かって歩き出した。
「っちょ、何するんだよ!」
「踊ってやる。気晴らしにはいいだろ」
「ふざけるな!何でキミなんかとっ」
「いいから踊れ」
抵抗するも、力は相手のほうが強い。
そのままズルズルとダンスホールへ進み出て、腰に腕を回された。
くっそ、これじゃ僕のほうが女役じゃないか!
忌々しいと相手を睨みつけるけど、相手は口の端を持ち上げて笑っている。
それに何も言えなくなって、僕はステップを踏み出した。
コイツは本当にムカツクけど、それでも逆らえない。
理由はわかっている。
コイツの喋り方、段々僕のパパンに似てきてるんだ。
笑い方だってそう。
だから僕は逆らえない。本当に腹が立つ。
グルグルそんな事を考えながら、ゆっくりとしたテンポに合わせて足を動かす。
途中で「もっと笑え」なんて言ってくるから、僕はワザと足を踏んでやった。
ザマーミロ。
「ほんとに可愛くねーなお前は」
「そんなもの必要ないからね」
いい年をした男にそんなものを求められても困る。
音楽が終わったからそう言い捨てて離れようとしたら、いきなり腕を掴まれた。
「マーモン!何をしている!」
「あ、ボス…」
僕の腕を掴んでいたのは僕のパパン。
いつもより眉間の皺を深くさせて、先程までのダンスパートナーを睨みつけている。
それにアイツは帽子を取ると、あろうことか僕の手にキスをした!
「リボーンっ!!」
「Arrivederci,Principessa」【さようなら、お姫様】
一発殴ってやろうと足を踏み出した瞬間、僕の体は宙に浮く。
そのまま動き出されて、目の前にフワリと羽が舞った。
どうやら僕はパパンに担がれているらしい。
焦って周りを見渡せば、後ろを付いて来ているママンと目が合った。
ママンは僕を見て困ったように苦笑している。
「いいのかぁ、ボス。見合いの途中で帰るなんて」
「かまわん!そんなものより息子の方が大事だ。悪い虫がつく前に帰る」
「ボス…それは娘に言うべき言葉だよ…」
呆れたように僕は口にするけど、それとは裏腹に僕はきつくパパンにしがみついた。
子供だって笑われても構わない。
もう少しだけ、この温もりの中でまどろませて…
- end -
ボスが親ばかに…(汗)
つかお子様が酒飲んじゃ駄目っすよ。
もう勢いだけで何が書きたかったのかわからないブツです。
Yayoi Jugo