チビアロ、チビザンと喧嘩する -PocoAlo litiga con PocoXan-

鉛色の空は気持ちまで暗くさせる。 いつもは賑やかなヴァリアー本部だが今日は静かだ。 賑やかな幹部達は揃って本部に呼び出されており、 子供達は喧嘩をしていてここ三日程口もきいていない。 窓の外の雨を見ていたアロは息を吐き出すと、テーブルに置かれたスケッチブックに向った。 黄色のクレヨンを手にしたアロは迷う事なく手を動かす。 数分後、白いスケッチブックにはトレードマークの王冠を被ったベルが現われる。 次は藍色を手にするアロ。 数分後現れたのはマーモン。 その調子で次々にアロはヴァリアーの幹部を描いていく。 ルッスーリアは沢山クレヨンを使ってカラフルに。 レヴィの髪は難しいけど頑張ってツンツンに。 自分の母親であるスクアーロの髪を頑張って真直ぐに。 好きな赤い色の目を持つ父親のザンザスを描いて、灰色に手を伸ばす。 少しアロは迷ったが、小さく自分の祖父も描いた。 そしてザンザスとスクアーロの真ん中に自分を描いてアロの手は止まる。 迷った手が最終的に黒いクレヨンを掴んだ時、部屋のドアが開く。 そこにいたのはブランケットを握り締めた自分の弟だった。 涙の筋を何本も頬に浮かべ、震える手でブランケットを握っている。 そんな弟をアロは何回か見た事があった。 夜中にザンはうなされて起きる。 震えて泣きじゃくりながら母にしがみつくのだ。 母があやして再び眠りにつく事もあれば、父が膝に乗せて絵本を読んでやる事もあった。 以前ザンが居ない時アロは父にどうしてザンは泣くのかと聞いた事がある。 それにザンザスはアロの頭を撫でながら、ザンは怖い夢を見てしまうのだと告げた。 そして、そんなザンに優しくしてやって欲しいとも。 『アロはお兄ちゃんだからできるな?』 『あい!アロおにーちゃんだからザンにやさしくできゆよ!』 そんな会話を思い出して、アロは立ち上がった。 今現在喧嘩をしていようとも、ザンは自分の弟には変わりない。 大好きな父とした約束を破るわけにはいかないのだ。 意を決してアロはザンに問い掛ける。 「ザン、どーしたの?」 「ひっく…ママン、は…?」 「おしごと」 「じゃ、パパンは…?」 「おしごと。みんなみんなおしごとなの」 アロの言葉にザンの目の縁にあった涙が零れ落ちる。 それでも誰もいないとわかると、普段のように声をあげて泣きもせず、 ザンは静かに部屋を出て行こうとした。 その手をアロは慌てて掴むと、 先程まで自分がいたテーブルの向かいにあるソファまで連れて来る。 そしてそこに座らせ、自分もその隣りに腰掛けた。 「こわいゆめ、みたの?」 「ん…」 「どんなゆめ?」 「………いたくてあつい。体がうごかなくなって、つめたくなる。…こおるんだ」 「こおるの?あいすくりーむみたいに?」 「もっとつめたい。まっくらになって、なにもきこえないはずなのに、 きこえてくるのが……ママンが泣くこえ」 「ママンが…?」 「いっぱいいっぱい泣いてて…ごめんなさいもいっぱい言ってる。 おれそれきくと、ここがぎゅーっていたくなる……俺をこおらせたのは、あいつらだ……」 きつく胸の辺りを押えた小さな手にアロは自分の手を重ねる。 そしてザンを見上げるとニコリと微笑んだ。 まるで太陽のような笑みに、ザンは思わず瞬きをする。 「ノンノがザンをこおらせたの?」 「うん…」 「じゃあね、もしノンノがザンをこおらせようとしたら、アロがノンノに、めっ!ってすゆよ」 「……………」 「そしたらね、ノンノはザンをこおらせたりしないよ」 「……ホントか?」 「ん。アロ、ザンがこおるのやだもん。だからアロ、ノンノに、めっ!ってすゆ」 だから大丈夫だと笑うアロの手をザンは強く握り返す。 それにアロはまたニコリと微笑んだ。 「ザンはアロがまもってあげゆよ」 「じゃあおれはアロをまもってやる」 「いっしょにいればだいじょぶだねー」 「そうだな」 ***** 数時間して帰って来た幹部達が見たものは、手を繋いだまま仲良く眠る幼子達の姿。 そしてその前のテーブルに置かれたスケッチブックには、 アロの隣りにザンがきちんと描きたされていたのだった。

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もう少しうまくザンの夢の内容を書ければ良かったかなぁ… 精進致します…

Yayoi Jugo