チビアロとチビザン、パパンに怒られる
-PocoAlo&PocoXan sono si arrabbi? a da padre-
―――ガシャーン!!!
執務室のドアノブを掴むと同時に不吉な音が聞こえ、ザンザスは眉間にしわを寄せた。
覚悟を決めてドアを開ければ、犯人達はビクリと肩を震わせる。
床にはインク壺の破片が飛び散り、それに伴い床に黒い池ができている。
加えてきちんと整理してあった書類は床にばらまかれており、
気に入りのペーパーウェイトは見事に粉々になっていた。
「アロ。ザン」
犯人達の名を呼べば、二人の目には涙が浮かんでいる。
ひとまず溜め息をつく事だけにとどめて、ザンザスは二人に近付いた。
「怪我はないか?」
「ん…だいじょぶ…」
「ケガしてない」
「そうか」
次の瞬間、二人の頭にはゲンコツが落とされた。
弱い力だったが幼子にはかなりの威力だ。
頭を押さえるアロとザンに、ザンザスは厳しい声を出す。
「ママンに何と言われた」
「う〜…」
「約束した筈だろう。忘れたのか?」
「ぼ、ぼしゅがぁ…えぐっ…いないときはぁ…ぐしゅっ…ダメっ…」
「うぇっ…パパンがっ…いないときはっ…ぐすっ……かってに、
えぐっ…おへやはいっちゃ、ダメっ……」
涙声でつっかえながらも二人は何とか答えた。
それを聞いたザンザスはしゃがんで目線を二人と合わせると、
大きな手でザンとアロの頭を撫でてやる。
「覚えていたのに勝手に部屋に入ったのは何でだ?」
「アロっ…ぼしゅのおてつだいしたかったのっ…」
「おれもっ…おてつだいしたら、パパンおしごとおわるから…」
「おしごとおわったら、ザンとアロとあそんでほしかったのっ…」
ゴシゴシ目を擦りながら喋る二人に、そういえば最近全く遊んでやっていない事を思い出した。
それだけではない。
ここ一ヵ月程仕事が立て込んでおり、
ヴァリアーの幹部達も任務先から次の任務先へ飛ばされるという事が続いていた。
広い屋敷の中、幼い兄弟は寂しい思いをしていたのだろう。
申し訳ない気持ちになり、ザンザスは未だに鼻を啜っている息子達を抱き上げた。
「理由はわかった。でも勝手にパパンの部屋に入っては駄目だ」
「あい…」
「今日は怪我をしなかったけれど、次はするかもしれないからな」
「うん…」
「パパンに何か言う事は?」
「ごめんなさい、ぼしゅ」
「ごめんなさい、パパン」
謝罪の言葉を言うと同時に、両頬にキスをされる。
ルッスーリアが「ごめんなさいをした時にはキスをするのよ」と教えた事が原因だ。
この癖を直すべきだとスクアーロは騒いでいるが、ザンザスはまだ幼いからと黙認していた。
ごめんなさいができた褒美に二人の額にキスを落とし、ザンザスはアロとザンに問い掛ける。
「何をして遊ぶんだ?」
「え…?」
「遊ぶんだろう?」
「だってぼしゅおしごと…」
「大丈夫だ」
そう言って微笑んでやれば、二人の顔は瞬く間に明るくなる。
はしゃいで次々に遊びの名前を口にするザンとアロに苦笑しながら、
ザンザスは子供部屋と化している恋人の部屋へと向かった。
後日、ザンザスに新しいペーパーウェイトが届いた。
以前の物と比べるとかなり安っぽくて小さな物だったが、
それはずっとザンザスの執務机に置かれている。
小さなそれは、息子達から贈られた初めてのプレゼントだったから。
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