チビアロとパパンの捜し物 -Cercando di PocoAlo e padre-

肩に疲労感を感じ、チラリと時計に目を移す。 それは仕事を始めてから三時間経った事を教えてくれた。 休憩にしようかと万年筆を置き、首を回す。 コーヒーを持って来させようと電話に手を伸ばした時、執務室のドアが乱暴に開いた。 「ぼしゅ!ぼーしゅっ!」 「…どうした」 恋人だったら投げ付けてやろうと掴んだ灰皿から手を放し、近付いてきた息子を抱き上げてやる。 その小さな顔は涙で汚れてグショグショだった。 息子の見慣れぬ姿に、顔には出さなくてもザンザスは内心かなり動揺してしまう。 「ど、どうした?」 「ひっく…ぼしゅうっ…アル…アルバートがいないのぉっ!」 「………………………………………は?」 「アルバートいないよぉっ」 うわぁああんっ、と大声を出して泣き叫ぶアロに、必死にザンザスは頭を動かす。 隊員の中にアルバートという名のものがいたか記憶から探すが該当人物はいない。 そうなるとアロの知り合いになるわけだが、幼稚園に行っていないアロには友達がいない。 だがアロがこんなに泣いているのだから余程重要な人物なのだろう。 こうなったらヴァリアーで総力をあげて探さなければならない。 アロにどういう人物か聞こうと思い視線を移せば、腕の中の幼子は白紙に落書きをしていた。 「アロ、アルバートはどういう奴なんだ?」 「やさしーの」 「……髪の色は?」 「ちゃいろ!」 「目は?」 「ちゃいろ!」 「背はどれくらいだ?」 「マーモンくらい」 マーモンくらいということは赤子ということだろう。 てっきり大人の男だと思っていたザンザスは返答に困った。 というか赤子が行方不明という事はかなり危険な状態ではないのだろうか。 「アロ、アルバートの親は誰だ」 「アロだよぉ」 「…は?」 「これアルバート!」 そう言って差し出されたのは落書きされた紙。 それにはつぶらな瞳のクマの絵が描かれていた。 「ぼしゅアルバートさがして!」 「………クマ?」 「ちがうよぉ、アルバート!」 呆然としているザンザスを尻目にアロは縫いぐるみの特長について説明している。 茶色の毛に目も茶色、水色のリボンを巻いているらしい。 そういえば恋人がアロは縫いぐるみや人形全てにリボンを巻いて、 名を付けてやっていると聞いた事がある。 多分なくなったアルバートもその一つなのだろう。 早く探してくれと自分を見上げる息子に、ザンザスは小さく溜め息を吐いた。 ***** 「どうしたんだこりゃあ…」 ザンと一緒に本部に帰還したスクアーロが見たものは、 ヴァリアーの隊員が総出で何かを探している姿だった。 そして良く見れば廊下の壁にポスターのような物がはられている。 それにはアロが描いたと思われる絵と、恋人の筆跡で縫いぐるみの特長が書かれていた。 まさかとは思うが隊員総出で縫いぐるみを探しているのだろうか。 「暗殺部隊…なんだよな…」 「あ、アロ!」 「ザン、ママン!」 「スクアーロ、お前も探せ」 茶色で水色のリボンを巻いたクマの縫いぐるみだとポスターを渡される。 アロが最近気に入ってた縫いぐるみだと気付いたザンは駆け出そうとするが、 スクアーロの静かな声に固まった。 「つーかマーモンの粘写で探せば早いんじゃね?」 「「あー!!!」」 その後アルバートは9代目の屋敷にある事がわかり、無事にアロの元に戻ったそうな。

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