チビザンと骸さん -PocoXan e Mukuro-
チリチリと何かが呼び掛けてくる。
そちらを見ればぼんやりと浮かんでいるソレ。
思わず近付こうとすれば、強く腕を掴まれた。
「やめなさい。戻って来れなくなります」
「でも…」
「アレは存在してはいけないものです」
わかるでしょうと問えば、少年はこくんと頷く。
寝巻姿の小さな体を抱き上げれば随分と冷えていた。
良く見れば足は素足である。
「いつからここにいたんです?」
「わかんない」
「……マーモンは今日任務ですか?」
「うん」
それならば彼がここにいた事に納得できる。
マーモンがいたのであれば彼がここに来る前に止めていた筈だ。
「ねぇムクロさん」
「なんですか?」
「…あの人ひとりでさみしそうだったよ」
あの人とは先程の霊の事だろう。
連れて行かれそうになったのによくそんな考えが浮ぶものだ。
彼は彼の父親と全く違う。
どちらかといえば自分の上司に似ている。
「ムクロさん…?」
「大丈夫ですよ」
「ほんと?」
「はい」
微笑んで頭を撫でてやれば安心したように笑う顔。
屋敷に向かって歩いていれば、いつの間にか腕の中の子供は寝息をたてていた。
その無防備な姿に溜め息が出てしまう。
「僕なんかを信用するなんてキミは大物になりますよ、ザン」
呟きは闇にとけて消える。
いつの間にか現われた月が二人を照らし出していた。
- continuous -