チビアロと雲雀さん -PocoAlo e Hibari-
面倒な仕事を片付けて本部へ戻る途中、気紛れに道を変えたのがマズかった。
うっそうと茂る森の中、どちらへ進めば良いのかわからなくなってしまう。
とりあえず進めば道に出るだろうと歩いていれば、どこからともなく子供の泣き声が聞こえてくる。
無視をして足を進めていれば、自分の鳥が飛んで来て肩にとまった。
『アロ、オリレナイ。アロ、オリレナイ。ナイテル、ナイテル』
「…?何を言ってるの」
アロ、という聞き慣れない単語に意味不明な言葉。
鳥に問い掛ければバサバサと飛んでいき、旋回しながらまた同じ事を繰り返す。
どうやら自分をどこかに案内しようといているようだ。
面倒だとは思いつつもそちらに進む。
鳥の後について歩けば大きな木の下に出た。
加えて大きな泣き声が頭上から聞こえてくる。
「ぼしゅ〜ママン〜ザン〜ノンノ〜〜うぁああんっ!!」
「……うるさいんだけど」
「うにゅ…?」
声の正体は子供。
顔中グチャグチャにして泣いている姿に呆れてしまった。
木の上にいて泣いているということは、登ったはいいが降りれなくなったのだろう。
ハッキリ言うが自業自得だ。
「だぁれ…?」
「……普通は助けてとか言うのが先じゃない?」
『ヒバリ、ヒバリ。アロ、タスケル。アロ、タスケル』
「ヒバリ…?」
「それ僕の名前。何で僕が鳥に指図されなきゃいけないの」
『アロ、ヒバードタスケタ。ヒバードタスケタ。ダカラヒバリ、アロタスケル』
煩く飛び回る鳥の羽には包帯が巻かれている。
どうやら自分が留守の間に怪我をして、あの子供に助けられたらしい。
だからって僕に子供を助けなきゃいけない義務はないんだけれど、
放っておいたらまた煩く泣くのだろう。
仕方がないと息を吐き出して、子供の顔を見つめた。
「飛び降りなよ。受け止めてあげるから」
「え……たかいよぉ…」
「できないならずっとそこにいればいい」
「うにゅ…」
「ほら、必ず受け止めてあげるから」
腕を広げてみせれば、子供は意を決したように飛び降りた。
軽い体をしっかりと抱き締めたけど、衝撃が強くて後ろに倒れ込んでしまう。
それでも怪我は無かったようで体を起こせば、小さな体にしがみつかれたままだ。
「ほら、降りたよ。離れて」
「う、う、うぁああんっ!」
どうしてまた泣くんだ!?
ぎゃんぎゃん泣き出した子供に息を吐き出し、仕方なく背中を撫でてやる。
暫くすれば落ち着いたのか、鼻を啜る音だけになった。
「ヒバリ…あいがと……」
「………キミに呼び捨てにされる覚えはないよ」
「う…?」
「呼んでくれるならさんつけて」
「…ヒバリ、さん?」
「なに?」
返事をしてやれば途端に笑顔になる子供。
その豹変ぶりに呆れながらも立ちあがり歩き出せば、小さな足音が後ろをついてくる。
「まだ何か用?」
「アロ、おつかいいくの」
「へぇ。どこまで?」
「ぼんごれほんぶ。ツナにしょるい、もってくの」
思いがけない言葉に思考が停止する。
良く見れば子供が身に着けている服にはヴァリアーのエンブレムが付いているし、
背中には小さなリュックを背負っている。
いつの間に暗殺部隊は子供を入隊させたのだろう。
これは上司に話を聞いた方が良さそうだ。
「ヒバリはどこいくの?」
「さん、つけてってば。僕も綱吉の所まで」
「ヒバリもおつかい?アロといっしょ!!」
自分を見上げて嬉しそうに微笑む顔に脱力しそうになる。
さて、どこから説明したら良いものか。
歩幅が違う為小走りについてくる小さな体を抱き上げ、僕は口元に笑みを浮かべた。
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