チビアロ、ヴァリアーの面々と出会う -PocoAlo incontra Variar-
「……本当に置いていくつもりか」
「当たり前だろが。会食パーティにガキ連れてくなんざ聞いた事ねぇぞぉ」
「…………………」
「…寝てるから平気だろ」
そんな会話が交わされたのが今から三時間前。
遊びつかれたアロはスクアーロのベッドに寝かせられていた。
アロが目を覚ました時には部屋は真っ暗で誰もいなかった。
「…ママン…?ぼしゅ…?」
暗闇に呼び掛けるが返事はない。
静まり返った部屋に、アロの目から涙があふれる。
「ま…ママンーっぼしゅーっ!!」
叫ぶが返事はない。
暗くて寒い部屋が嫌で、アロはベッドを抜け出した。
重いドアを開ければ、明かりのついている廊下に出る。
とりあえず誰か探そうと、アロは広い屋敷をとてとてと駆け出した。
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とてとて…
とてとて…
とてと…べしょ!!
思いきり廊下で転んでしまい、チビアロの目から涙があふれる。
広い屋敷の中を走り回った為、疲れ果てているし空腹でもある。
「いたいよぉ〜おなかしゅいたよぉ〜」
ボロボロ涙を零し、力の限り泣き叫ぶ。
それに気付いたヴァリアーの幹部が廊下に集合するのに一分もかからなかった。
「子供だね」
「子供が屋敷にいるなんておかしいわねぇ」
「ししし。それ言ったらマーモンもいちゃダメだよねぇ」
「うるせえ声だ」
「ボク〜どこから来たの?」
床の絨毯にしがみついていた小さな体をルッスーリアが抱き上げる。
その顔を見て、四人は固まった。
「スクアーロ…?」
「確かに似てるわねぇ」
「アホ鮫の隠し子ぉ?」
「まさか…」
「ボクどこから来たの?」
ルッスーリアの問い掛けにアロは小さな手で指をさす。
指された先にあった部屋はスクアーロの部屋で。
やはりと四人は顔を見合わせる。
「どうするの?」
「もしボスにばれたら…」
「あの鮫今度こそ消されるねー」
「う゛ぉおい。何だこの集まりは」
楽しそうなベルの声に被ってスクアーロの声がする。
それに安堵した四人が振り向けば、次の瞬間に一同見事に凍り付いた。
スクアーロの隣りにいるのはネクタイを緩めながらこちらを見ている我らがボスだ。
本当にどこまでもついていない鮫なんだ。
毎年命日には花くらい供えてやろうと、四人の思考がそこまで飛んだ時、
ルッスーリアの腕の中にいたアロが嬉しそうな声を出す。
「ママン!ぼしゅ!!」
「!!!?」
「あんだぁチビ。起きたのか」
「おなかしゅいたよぉ」
「あ゛ーメシかぁ…」
困ったように頭をかいているスクアーロの横を通り過ぎ、ザンザスがアロに近付く。
「ぼ、ボス?」
「来い」
「あい!アロ、ぼしゅにいくー」
手を伸ばしてジタバタするアロをザンザスはルッスーリアから抱き取る。
ザンザスは相変わらずの無表情だが、アロは上機嫌だ。
「ぼしゅ、おしゃけのにおいー」
「嫌か?」
「んーん。でもおしゃけはちょっとじゃなきゃダメよー」
「ああ」
アロの言葉に怒鳴りもせず、素直に頷くザンザス。
その行動に固まっている四人の氷は更に酷くなる。
「ママン、ごはんー」
「わーったっての」
「行くぞ」
「あ゛ー…」
その前に誰か部下を呼んで同僚を溶かしてやった方が良さそうだ。
前を行くボスの背を追いながらスクアーロはそう思った。
- continuous -