ドレスを作ろう -far? un vestito-
一体全体どういう事なのかしら、とルッスーリアは首を捻っていた。
メイドの話によると、三日ほど前から大量にシーツやカーテンが
無くなるという事件が発生しているらしい。
それに加えて糊やボンドといった事務用品も持ち出されているようなのだ。
だが誰に聞いても心当たりはないとの答えばかりで、首を捻るしかない事件である。
「全く…困ったわねぇ」
問題は誰も犯人がわからないという点にある。
シーツや糊なら可愛いものだが、この犯人が実はスパイで、
そのうち機密文書まで持ち出されたら厄介だ。
早く何とかしなければと溜息を吐きながら廊下を歩く。
と、ある部屋のドアから何かがはみ出ていた。
近付いて良く見てみれば、それは白いシーツ。
部屋の中からは何やら声が聞こえてきており、
ルッスーリアは気配を消すと、そっとドアを開いた。
「うんしょ、うんしょ。ザン、みぎがわできたよぉ」
「おれもひだりがわできた。こんどはくっつくといいな」
「うん!」
部屋の中にいるのはアロとザン。
そういえば最近遊んであげていなかったわとルッスーリアは心の中で謝罪をする。
が、床に置かれている物を見て、思わず破壊する勢いでドアを開いた。
「アロ、ザン!!」
「うわぁ!!」
「あ、ルッス―…」
「何なのこれは!!」
ルッスーリアが怒るのも無理はない。
アロとザンがいた部屋には大量の白いシーツやカーテンが有り、
それに加え糊やボンドが散らばっている。
そして床に広げられているのはピンクの淡い色のドレス。
だがそれには切り刻んだのだと思われる白い布がパッチワークのように貼られていた。
「なっ、なんでもないよ!」
「うんっ!なんでもない」
「何でもない訳ないでしょう!!シーツもカーテンもこんなにボロボロにして!
スクアーロに言いますからね!」
「「だめーっ!!!」」
ルッスーリアの言葉に慌てて二人は叫ぶ。
それに溜息を吐くと、ルッスーリアは屈んでで二人と視線を近くした。
二人が理由も無しにこんなイタズラをする訳がないということはわかっている。
頭を撫でて理由を聞けば、二人はしゃっくりあげながら理由を話し始めた。
「あのね、ひっく…けっこんしきはドレスだからねっ…えぐっ」
「いろはね、ひっく…白じゃなきゃ…えぐっ…ダメって…」
「結婚式?」
泣きながら説明をする二人の話を聞いていけば何故こんなことをしたのか納得をした。
シーツや糊を持ち出したのはイタズラではなく大好きな母親の為に白いドレスを作ろうとしていたから。
だがやはり糊やボンドでは上手にくっつかず、悪戦苦闘していたらしい。
二人の手や服は糊だらけで、子供だけで頑張ったのだろう事がわかる。
事情が分かれば怒る気にもなれず、ルッスーリアは二人の額にキスを落とした。
「頑張ったのね二人とも」
「う…うんっ……」
「でもっ…きれいにできなっ…」
泣きながらザンが指差した先には雑誌があり、ウェディングドレスを着たモデルが微笑んでいる。
確かにそのドレスとパッチワークドレスとでは似ても似つかない。
「わかったわ。ドレスはアタシが何とかしてあげる」
「ホント!?」
「ええ。その代わり、二人にはお願いがあるの」
耳元で囁かれた言葉に二人は顔を輝かせ、任せてくれと元気良く答えた。
その笑顔にどうせならば暇だと騒いでいた同僚達も巻き込もうとルッスーリアは考える。
結婚式本番まで果たして上手く準備できるのだろうか…?
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