当日 -quel giorno-

準備は全て整った。 主役が到着したなら、ほら。 楽しいパーティの始まり始まり… ***** 上司から言い渡された急な出張から戻ってみれば、屋敷内の様子が何処かおかしい。 不思議に思いながら執務室に足を踏み入れれば上司が笑みを浮かべて立っていた。 「…まだ報告書はできてない」 「ああ、それはわかってるよ。それよりほら急いでこれに着替えて」 そう言って綱吉が見せたのは白のタキシード。 あまりにも自分と不釣り合いだと思っていれば、早く着替えろと綱吉の右腕が急かす。 「何なんだ一体」 「結婚式だよ。今頃スクアーロも着替えさせられてる筈だから」 「は?」 「ねぇ獄寺くん。髪は下ろした方がいいよね?」 「そうですね。おら、さっさと脱げ」 脱がないならひんむくぞ、と言う獄寺に溜息を吐き、 何が何やらわからないまま、ザンザスは諦めて着替え始めた。 ***** 似合わない白い服を着て髪型までいじられ現在ザンザスの機嫌は最低だった。 背後からひしひしと感じながら綱吉は前を歩く。 「おいどこまで行く気だ」 「中庭だよ。あ、ルッスーリア」 「あらドン。ボスは……いやぁあんっボスっ!髪下ろしたのね素敵よぉどふぅっ!」 「うるせぇ」 自分の知らないところで話が進んでいく事に苛つき、 とりあえず目に付いたルッスーリアに蹴りを一発。 一体何なのだと中庭に視線を向け、その様子にザンザスは固まった。 それに綱吉とルッスーリアが笑みを浮かべれば、中庭と廊下を繋ぐガラス貼りのドアが開く。 入って来たのは父親とその側近達。 優しい笑みを浮かべる父親に気まずそうに視線を反らせば、父の右腕が抱き付いてきた。 「ザンザスー!」 「んなっ家光テメェ!離れろ!!」 「お前も立派になったんだなぁ!!」 感きわまって泣いている家光を引き剥がそうとするが、何分きつく抱き付いている為難しい。 誰か助けろと視線を向けるが、実の息子ですらお手上げのようだ。 その隣りではテュールが目を真っ赤にしてザンザスを睨み付けている。 「テュール」 「う、うっ…だって9代目ぇええっ…」 これがあの剣帝と呼ばれた男の姿なのだろうか。 ぐすぐすと泣いているテュールは立派に花嫁の父だ。 と、そこへ賑やかな声が近付いてくる。 「はひー!そんなに大股で歩かないでください!」 「ベールが取れちゃいますよ」 「んなこと言ったって歩き辛ぇんだよ!」 「す、スペルビー!!」 「ぎゃああっ!」 突然突進してきた男に抱き付かれスクアーロは悲鳴をあげる。 一体何なのだと辺りを見回し、固まっている恋人に驚く。 白のタキシードに髪を下ろしいつもより幼い感じがする。 思わず見とれていれば、涙声で養父に名を呼ばれた。 「何だよ」 「お嫁に行ってもっ…ぐすっ…スペルビはいつまでも私の息子だからね…」 「はぁ!?」 「旦那に愛想つかしたらいつでも帰っておいでっ!!」 綺麗だよ、と涙を拭いながら微笑むテュールに驚いて、スクアーロはザンザスを見つめる。 その視線を受けてザンザスが綱吉を見れば、「結婚式だって言ったでしょ」と微笑まれる。 そこでようやく結婚式をするのが自分達だと初めて気付いた。 「さ、始めようか。あの子達も待ちくたびれてるよ」 綱吉のその一言で二人の結婚式がスタートした。

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