2話 -seconda storia-

付き合い始めて三か月。 一般的なカップルなら初々しくも蜜月突入という時期だろう。 俺も一応付き合い始めて三か月経つのだが、恋人とは一向にそんな気分にはならない。 というか三か月の間に会ったのは三回。メールは六回。電話にしてはゼロだ。 ルッスーリアに言えば異常だと騒がれたが、向こうが忙しいのだから仕方が無い。 俺の恋人は一月前に出かけて来ると言い残し、未だに帰って来てないのだ(むしろ国内にいるかも怪しい) どこかで野たれ死んでいるんじゃと思い始めた昨日、それを見透かしたかのようにパソコンにメールが届いた。 言っておくが貧乏学生の俺にパソコンが帰る筈が無い。一式全て恋人が勝手に買って置いていったのだ。 まあそのパソコンにメールが来た。 文章は明日帰ると言う事と飛行機の着時間のみ書かれていたのだが、 添付されていた画像を見た俺は言葉を失った。 これほどまでに綺麗な青空を俺は見た事がなかった。 ***** 次の日。 俺は学校をサボって空港にいた。 来た理由は青空のせい。 早くあの写真を生で見たかった。それだけだ(決して恋人に会いたかったわけではない) ゲートをぼんやり眺めていれば、様々な人が通り過ぎて行く。 と、不意に髪を引かれる。 何かと下を見れば自分と同じような髪の女の子がいた。 「どうしたんだぁ?」 問い掛けるが返事が返ってこない。 否、喋ってはいるのだが俺にはわからない言葉だ。 女の子の目には涙が浮かんでいく。 ヤバい。どうやら迷子らしい。 オロオロと周りを見渡すが親らしき人影はない。 挙動不審な動きを取っていれば、背後から頭を叩かれた。 「う゛ぉ!?」 「何バカみてぇな動きしてんだテメェは」 後ろにいたのは恋人だった。 それを確認するや俺は女の子を抱き上げザンザスに突き出す。 「助けてくれ!」 「あ?お前のガキか」 「んなワケねぇだろぉ!!」 「だろうな。まだしてねぇのに出来てたまるか」 色々突っ込みたかったがそれは後回しだ。 この子の親を探す方が先決だ。 俺が事情を説明すれば、女の子が何か呟く。 それに気付いた恋人が女の子に話しかければ、彼女は瞬く間に笑顔になった。 「ど、どうしたんだぁ?」 「迷子のようだ。係員に預けてくる」 それだけ言うと俺の手から女の子を抱き取り歩いて行く。 俺はその背を見送る事しかできなかった。 ***** 「さっきの何語だったんだぁ…?」 「ロシアだ」 「はぁ〜…」 「口を開けるな。尚更間抜けに見える」 結局あの後空港近くの高級ホテルに連れ込まれ、一緒にメシを食っている。 先程からチラチラと客にみられているのは俺の格好のせいだ。 スーツ姿の客が多い中、一人だけシャツにジーンズなのだから目立って仕方が無い。 帰らせてくれと向いの男に言うのだが、見事に無視だ。 食事も豪華過ぎて腹の何処に入ったかわからない。 テーブルマナーに悪戦苦闘していれば、向いの男はとんでもない事を言い出した。 「明日、ニュージーランドに行く」 「は?今日帰って来たのにか!?」 「お前を向えに来ただけだ」 「あ……?」 「喜べ。仕事だ」 口元に笑みを浮かべて告げられた言葉に、俺は眩暈を起こしそうになる。 俺の本業は学生で、モデルじゃないんだが… 「いちいち家に戻るのも面倒だからここにした。必要な物は全て買ってやるから心配するな」 「………俺に拒否権は…」 「あるわけないだろう」 鼻で笑う恋人を見て、何でこんな男を好きになったんだと疑問に思う。 恋は盲目とは言ったものだが、何だか泣けてきた。 そして部屋に行き、俺は更に困った事態に陥る。 「何でベッドが一つなんだよ!?」 「二つもいらねぇだろ」 「え、あの、ちょっとおい…」 「安心しろ。優しくしてやる」 「ぎゃああああ!!!」 どうやら俺達は一般的なお付き合いの段階とは無縁らしい。 というか俺はどうすりゃいいんだ!! カミサマ、助けて!

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