みずいろの町
あの日から
年を数えなくなった
あの日から
部屋から鏡が姿を消した
アンタがいなくなった、あの日から…
久し振りのオフだった。
ブラブラと町中を歩き、ふと立ち止まったショーウィンドゥの前。
俺を睨み付けている細い男は自分だ。
久し振りに見た自分自身。
髪はとうに肩を越し、肩甲骨辺りまで伸びている。
見慣れない自分の姿。
それに口の端を持ち上げれば、写し出された自身はぎこちなく不様に笑っていた。
――何をしているんだ、お前は
不意に吐気が込み上げる。
口を押さえて急いでその場から立ち去った。
気持ち悪い、気持ち悪い、気持ち悪い。
アレは誰だ。俺か。俺なのか。
髪が長いと掴みやすくて良いだろうと言いやがったのは誰だったか。
細くて柔らかいから伸びたらさぞかし手触りが良いだろうと笑ったのは誰だったか。
「ザンザス…」
呟いて、裏路地に座り込んだ。
膝に顔を埋め嗚咽を堪える。
それでも涙は流れ落ちた。
なあ後どれだけ待てばいい?
時は止める事が出来ずに流れていく。
世界は軋みながらも回っている。
まるでアンタが最初からいなかったかのように…
「ザンザス…ザンザス…っ!」
あの紅い目も、少し高めの体温も、耳をくすぐる柔らかい声も覚えている。
跪いて忠誠を誓った日の風の匂いも覚えている。
それなのに、それなのに!!
何故アンタはいないんだ…
「ザ、ンザ…ス…」
ココロが朽ちていく。
繋ぎ止めてくれるのはアンタの名前と誓いの髪。
腐りきった世界に沈む前に、早くここから引き上げて。
今度はもうその手を離さないから…
- end -
某バンド様の曲をエンドレスしながら書いたブツ。
タイトルも聞いた曲からお借りしました。
Yayoi Jugo